井伏鱒二『かきつばた・無心状』

国立のみちくさ書店で、井伏鱒二『かきつばた・無心状』(新潮文庫)購入。¥200。
小沼丹が解説を書いているので、先回りして読んでしまう。本書所収の『おんなごころ』が、太宰治について書いていることから、小沼丹が、太宰の井伏鱒二に宛てた書簡を頂戴する話を書いている。個々の作品の解説は全くなくて、いつもの調子の随筆なのだが、これが、頗る面白い。内容的には、手紙をもらういきさつとか、手紙の内容とかであり、特別なことは記されていないのだが、やっぱり、いいのである。ちなみに、太宰も小沼も井伏鱒二の弟子である。
この文章が書かれたのが平成6年というから、小沼の晩年に当たるが、先日から未知谷で刊行が始まった全集には収められるのだろうか?