小沼丹全集

朝日新聞の書評に小沼丹全集(未知谷)が出た。
うーん、やっぱり、欲しくなってしまうなあ。
小沼丹は、講談社文芸文庫の4冊を読んだ。『埴輪の馬』は、品切れだけれども、国立の増田書店に残っていたのを入手できた。やはり、『懐中時計』冒頭の『黒と白の猫』、これを読んで、その魅力にはまってしまったと言える。他の小説も随筆も、シンプルだけれども他では決して味わえないと思われるような読後感が残る。
そうやって読み進めているうちに、全集発刊の報に触れ、1巻1万2000円、4巻4万8000円の出費は痛いが、これはうれしい悲鳴ということだ、なんて思っていた。
ところが、前にも書いたがこの前のゴールデンウイークで、内田百輭旺文社文庫のやつを30巻ほど、ダーンと大人買いしてしまったのである。これを読み切るのは、1年以上はかかると思われる。それに加えて、小沼丹全集4巻、単行本に換算すれば十数冊分になろうか、というボリュームを上乗せするのはいかがなものか。しかし、おそらくこういう全集は、注文の部数以上に多くの在庫を抱えるということは考えられず、注文するなら今のうちであるはずだ。
こういうことを、かれこれ1か月ばかりの間、くどくどと考え続けていた。そうしたところに、朝日の書評である。全く、本当に、困ってしまう。