内田百輭『冥途・旅順入城式』

内田百輭『冥途・旅順入城式』(旺文社文庫)を読了した。
初期の短編集2冊の文庫化。どちらもシュールな夢の文章化。冥途の方がシュール度が高い。読んでいて、ガロ系の漫画の世界だな、これは。と思った。蛭子能収なんかのマンガに通じる何かがあるのだ。もっとも冥途は大正時代の作だから、こちらの方がよっぽど早いわけだが。
旺文社文庫は、文庫自体今はないが、現在刊行中の『内田百輭集成』(ちくま文庫)が新仮名遣いであるのに対して、旺文社文庫は旧仮名遣い。内田百輭は旧仮名遣いの方が気分がでるように思う。旧かなも慣れれば平気だしね。