藤森照信 人類と建築の歴史

人類と建築の歴史 (ちくまプリマー新書)

人類と建築の歴史 (ちくまプリマー新書)

大胆な本。
ページ割りが大胆。建築史の本なのだが、約170ページのうち、旧石器時代新石器時代についての記述が130ページくらいある。そのあと、「青銅器時代から産業革命まで」という章で、これらの時代を約20ページで片づけてしまう。最後は、20世紀モダニズム建築に触れて終えている。この、ものすごい偏りは何なんだろう。
過去の自分に対して大胆。日本の明治・大正期の西洋館を含む産業革命期の歴史主義建築に対して、「建築の神様がいるとしたら、おそらく悲しんだにちがいない。」と評している。言うまでもなく、筆者は日本の西洋館建築研究の第一人者である。それなのに、こんな書き方をしてしまっているのだ。
内容は非常に面白く、しかも読みやすく、分かりやすい。それでいて大胆。読みやすいが、簡単には読み飛ばせない本だ。